Category Archives: セラピーガイドのつぶやき

雪が上がってきて、星が降ってきた

私はおたり森林セラピー基地のガイドだけれど、小谷からだいぶ離れたところに住んでいる。
小谷で雪が降る時は、西高東低の純正(?)冬型の気圧配置の時。
私が住んでいるところに雪が降る時は、太平洋上を低気圧が東進する南岸低気圧の時。
なので、普段はあまり降らないのだけれど、先日まとまった雪が降った。
家周りの雪かきが一段落して、道路状況やら積雪状況が把握できたら、ひゃっほーい♪と山へすっとんで行く。

出発がだいぶ遅くなってしまった。
午前中はいい天気だったけれど、私が出かける頃には南風が強くなって、どどんと大きな雲も出現して、どうやら天気は下り坂。今日は標高2000mまで登るつもりだったけど、天気次第だなー。
期待どおりのふわふわさらさらないい雪♪
期待してなかった富士山にも会えた♪♪(純正冬型の日は、富士山方面は天気がよい)
はぁー幸せ♪♪♪
まぁ時間も遅いし、天気も怪しいし、そろそろ引き返すかーと立ち止まったら、雪が。
雪片が風とともに斜面を翔け上がってくる。
そうだなぁ、例えるなら、高速で飛ぶホタル。あるいは綿毛。まるで生きもののような群舞。
ふふっ。何だか不思議。雪は、降るものなのにね。

別の日。
露天風呂でもうもうと上がる湯気の向うの星空を眺めていたら、きらっと光る何かが降ってきた。
え、星?と思ったら、雪片だ。今日は冬型の気圧配置で、山際には一日中ふわふわの雪雲がかかってたから、そこから飛んで来たんだね。
星空なのに雪が降るなんて何だか不思議。星がきらきら降ってきたなら、なお素敵(大変か笑)。

そんな風に、いつもの光景を違う見方で遊んでみるのも、なかなかに楽しいものなのでした。
雪、大好き。冬、寒いけど大好き。

ずっと一緒にいたんだな~

ピアノが好きです。
昔、習ってました。
(でもね、一番最初の先生に「練習曲つまんないから、『およげたいやきくん』弾こうよ(←このころたぶん幼稚園生)」って言って、「面倒見られません」って破門になっちゃったの苦笑!!)

習ってた頃は嫌で嫌で、でも大人になったら不思議とふと弾きたくなることが多くて。
一時期ずいぶん練習したりもしました。最近とんとご無沙汰だけど。
今でも気に入った曲には大抵ピアノの音色が入ってて、聴いてると落ち着きます。

ところで、先日実家のピアノの調律に付き合いました。母が最近またピアノを始めたので。

母は若い頃からピアノがほしくてほしくて、でも最初の子(兄)は男の子で、父に「男にピアノは要らん!」って言われてて、ずいぶん後に私が生まれた時は「これでピアノが買える!」ってすごく嬉しかったんだって。だから私は生まれた時にもう大きな親孝行しちゃってるの笑(だから後はいいの、もうどうでも笑笑)。

で、来てくれた調律師さんと話していたら、なんと。
ピアノに(私の大好きな)ぶなの木が使われているっていうじゃないですか!!

「え!どこどこ、どれがぶな!!?」
「この機種だと、見えないけど、これこれこういう部品に」
「ほぇぇ~」

ぶなって、「橅(木へんに無し)」って書くのは木として役に立たないからとか、水分が多くて木材として使い物にならないとか、さんざん聞いたり説明したりしてたんだけど、耐久性が必要なピアノに使われてるってすごくない??丈夫だからなんだって。

つまり、ずっと一緒にいたんだな~。
私がはじめて美女平のぶなの森を訪ねてその明るさ大らかさに惚れてしまったのは20代後半だったけど、もっとずっと小さい頃から、大好きなぶなと、ずーっと一緒にいたんだよ♪
これは思わぬところで大発見&大きな感動。なんだかとーっても嬉しくなってしまいました!!

木ってすごい。切られても、形を変えて、なお私たちのそばにいてくれる。
実家のピアノは製造40年を超えるけど、大切にしたいです。
そしてまた弾きたいな、ぶなに話かけながら♪

 

 

少し雨が好きになりました

5月に屋久島へ行ったときのこと。

島内最大の縄文杉を訪ねた日は、屋久島の洗礼とでも言うべき雨。道のりは、往復22キロ。
私は濡れるのが大嫌いなのだけれど、滞在期間が限られているので、選択の余地なし。
森の中で当たる雨は、言わば木々の雫。そしてこの森を潤す命。いのちの雫を手のひらに受け雨音を聞きながら、これが「雨の屋久島」か。とひたすらに歩く。

雨に洗われる森はそれは美しく、視界一面むせかえるような緑。
登山口から多くのツアー客をごぼう抜きして先頭に躍り出たため、前後に誰もおらず、とても静か。ただただ、雨の音。時々、小鳥のさえずり。静か。

雨は終日止まず。静かにやさしく、時に強く、降り続く。道中ずっと雨音を聞いていた。
私は基本、山はお天気のよい日を選んで行くので、これは珍しい。
瀬音とは異なる、もっと細やかで軽い、さぁーという音。雨が葉に当たる音だね。
これが全身ずぶ濡れの情けない状況とは裏腹に、結構心地よいことを発見してしまった。
どこか落ち着く。

帰ってから間もなく、こちらも梅雨入りとなった。
どれ少し雨音をじっくり聴いてみようかと、雨の日を心待ちにすると、なぜか降らない(笑)。

屋久島では今まで「知っている」と思っていたいろいろなことをひっくり返された。
例えば「大木」のスケール、苔や朽ちた木の美しさ。そして雨の森の心地よさ。

趣を変えて、これから少し雨の中も歩こうかな、と思うようになりました。
(ただし森の中限定ね。稜線はしゃれにならんから~笑)。

呼ばれた?

本を借りに図書館へ行った。

駐車場に車を停めようとしたら、脇に植わっているドウダンツツジが傾いているのに気がついた。

誰か/何かがぶつかったみたいで、土から根が持ち上がっちゃってる。

「どうした?」って起こそうとしたんだけどうまくいかず、このままだと枯れるなと思い、事務所の人に何とかしてって言いつける(笑)。

で、お目当ての図書館は、臨時休館(苦笑)。

助けて、って呼ばれたかな(笑)。

・・・・・

将来は「センスのよい植木屋さん」をやりたい私。

山の中に分け入ると、適した環境にいる木々の樹形や茂りようは、それはそれは美しい。

例えば水が大好きな桂。山では沢沿いに桂が見られることが多く、明るい緑のハート形の葉っぱが生い茂った様は、生き生きと生命の喜びがあふれ、見ていてこちらが嬉しくなる。

一方、某市の街路樹には桂がよく採用されているのだけれども、土地に水がないらしく、またここ数年とても暑くなってきたせいか、枯れているものが多い。生き生きと美しい本来の桂?を知っている私としては、その姿を見るのはとても悲しい。やはり地下に水のある所に植えてあげないと。

先日は、某新幹線駅前広場の街路樹としてブナの木が植えられているのを見て、本当に驚いた。ブナは・・・残念ながら町では育たない。山に帰してあげて下さい(泣)。

ブナも桂も私の大のお気に入りで、街にもその明るい緑の森が出現すれば、それはそれで素敵だろう。某所はブナの森をたくさん抱えている地域なので、机の上の都市計画でそういうアイディアが出るのはすごく理解できる。けれど、机の上だけではやっぱりだめで、やはり適材適所にあってこそ、豊かに生き生きと本来の生命エネルギーが表現されるんじゃなかろうか。そして、その状態にあるものはどれもとてもとても美しいのです。

(これって、人も同じなんだよね。。。)

街の中でもそういうのびのび生き生きした木々を見ながら生活したいな/してもらいたいな、と。

まぁ、そんな風に、木にとっての適材適所がよくわかって、木が生き生きと生い茂る助けができる植木屋さんになりたいなぁ。って思っている。木とお話しながら(と言ったら友人の子供たちに爆笑された。何がおかしい、大事なことだ笑)自然樹形をなるべく崩さずに上手に剪定できるとか。
どうしたらそうなれるのか皆目見当つかないが、山を下りたらそんなこともしてみたいな~とひそかに思いを温めている。

と、とりとめもなく長くなったのでこの辺で。

しめしめ♪の瞬間

6月の「女性のための森林セラピー♪」企画にお客様がありまして、続けて鎌池にお連れしました。

お越しになるお客様は、実にそれぞれ。暮らし、お仕事、森林セラピーに求めるものもそれぞれ。
でも、今回のお客様に限らず、皆さんに共通することが。
ぶなの緑のドームの下、しばらく寝転んでころんでいただいた後の変化。
みなさん一様に表情が生き生きとし、無口な方も口数が増える。ご自分の変化に気づかれる方も。

しめしめ♪~森スイッチが入ったぞ、と思う瞬間です(笑)。

寝ころんでいただくのはいつも、もうかれこれ森の中で2時間以上は過ごして、森のエネルギーをたっぷりと取り込んで、森のリズムに馴染んだよい頃合い。森スイッチが入れば、お客様は森とつながって、自然のリズムとつながって、大切なものを思い出し始める。
私が大好きなぶなのチカラでもあります。

大らかでやさしくいつも包み込んでくれるぶなの森が大好きな私。
鎌池の周りにもぶなはたくさんあるのですが、なかなかゆっくりと大好きなぶなについてお話ができない。ぶな抜きには鎌池は語れない。そこで今回から、鎌池の森林セラピーのプロローグとして、お客様にぶなと友達になってもらう時間を設けました。

思えば、数年前にこの女性企画を立ち上げた原動力は、「ぶなの森で自分の思う形の森林セラピーがしたい!」でしたっけ。今、こうして思う形でセラピーができている。今回の女性企画を終えて、そのことに気が付きました。

当初と今と、自分のスタンスも大きく変わりました。ずっといい形でガイドができるようになったと思っています。

何にせよ、幸せ♪♪なことです。
はるばる来てくださったお客様、女性企画の仲間、そして、ぶな。
ありがとう。です。

鎌池のぶな

鎌池のぶな

 

俺たち生きてるぜ~♪

田んぼに水が入って、もうあちこちで田植えが済みました。

夜になると、カエルの大合唱が聞こえてきます。
(昼も鳴いてるんだろうけど、いろんな音に紛れてか聞こえない)

私はこのカエルの大合唱が大好きです。
「俺たち生きてるぜ~♪」って命の喜びを歌っているような気がするんです。

埼玉から引っ越してきたばかりの頃は家の裏に田んぼがあって、毎年そこに水が入るともう夜はカエルの合唱がそれはそれはにぎやかで、電話相手の声が聞こえない、なんてこともあったっけ。懐かしいな~今はすっかり家だらけになってしまったけど。

瞬間々々ただただ生きる喜びを表現する。
そういうシンプルなことでよいのかもしれない、人もまた。

 

雪虫大移動

春の楽しみ、「道なき道」シリーズ。
地図とGPSの緯度経度情報と地形とカンを頼りに、雪上の道なき道を歩きます。

今回は、栂池上部の天狗原から白馬乗鞍スキー場へ下りてみました。
スキーツアーコースが整備?されている(ナンバーの付いた看板?が木に設置してある)のだけれど、私は歩きなので(スキーで下りやすいルートと歩いて下りやすいルートは違う)、途中からコースをそれてスキー場端の尾根へと下降し、タヌキとカモシカを全速力で逃亡させました(そんなとこ普段は人が来ないだろうからね苦笑)。

今回は近いから~とあっちで寝ころび、こっちで歌い踊りしていたら、結構時間がかかりました(笑)。

途中雪庇がうねる尾根道で、山々を眺めながらコーヒー休憩。
北アルプスの山々、妙高連山がきれいに見える、なかなかの休憩適地。
ふと気づくと足元に雪虫が。よくよく見ると、下方からぞくぞくと登ってきます。
途中止まってはくるくるとその場を回って、また上方を目指して進んで行きます。
それぞれがあちこちでくるくるとやっているのを見るのは面白く、他の雪虫達が目指している方向を指さして「あっちだよ」とか言ってみたりして(笑)。

その時は何やってんのかな~と思って見ていたのですが、後から考えるとあれは雪がなくなるので、雪のある高い所寒い所へ移動してたのでは、と思い至りました。
そしてくるくると回っていたのは、きっとセルフコンパス&高度計。
私が歩いてきたルートも、きっと雪虫たちにとってはただの圧倒的な雪原。彼らの目には、山々の眺めも地形も木々もわからない。鳥が大空を飛ぶように、雪虫にも自分に相応しい場所へ行くためのコンパスが内蔵されているんだろうな。
人間にもきっとその能力はあるんだろうけど、ちょっとうらやましい感じがする。

雪と快適な気温・環境を求めて、上方へ大移動。
春になると「雪が無くなる!」と言っては高い山へ上がっていく自分と同じじゃないか。
と親近感(笑)。

雪虫

雪虫

追伸:
上記雪虫は正式には「セッケイ(雪渓)カワゲラ」って言うみたいです。

 

季節を旅する

4月のはじめ、桜前線が北上する中、長野から埼玉へ旅しました。

長野県の市町村はどこも標高5~600mほどあります。対する埼玉は10mくらいかな。
こちらはまだまだ冬景色の中、梅の開花などようやく早春の風景が見られ始めたばかり。
そこからどんどんと標高を下げて行くと・・・景色がどんどん春爛漫へと変わっていく。
まずコブシ、そして桜、里山が木々の芽吹きでほんのり淡い緑に染まっていく・・・

ひとり運転する車の中で、「きれいだねー!」「きれいだよー!!」連発(笑)。果ては涙が込み上げる始末(笑笑)。美しいものを見るとなぜか泣けてくるんですよ~。

今回は車でしたが、電車(特急あずさ)でも同じことが楽しめます。
たとえば11月下旬ごろ東京へ出かけて行くと、車窓は初冬から晩秋へ季節を逆行する旅となります。去ってしまった秋を取り戻すかのような、まるで時を戻るかのような。不思議な感じです。

今回埼玉では桜が満開で、予期せずお花見を楽しめました。
そして長野に帰れば、桜の開花はこれから、という状態。さらに標高をあげれば、まだまだお花見楽しめます。

以上、標高差が違うところに住む楽しみをひとつご紹介しました♪

 

 

春めいてきましたよ

県内の梅があちこち満開になって、春めいてきました。
この時期、まだ茶色い里山の景色がほわほわとしてきます。木々の芽がふくらんでくるのだと思います。

英語ガイドでよく出かけるスノーモンキーパークでも、猿たちが温泉に入ってることが少なくなってきました。あたたかくなってきたので、陽射しがあれば、お風呂に入って濡れるよりも日向ぼっこの方がいいらしいです(スタッフ談)。お客さんは海外からはるばるわざわざ見に来てるんで、温泉に入ってるの見せてやってよ~って思いますが(笑)。

桜は、ある時期から気温を累積していって一定の温度に達すると開花するのだとか。よくわかってるな~って思います。あるいはそうせずにはいられないのか。

家の窓辺に腰かけて日向ぼっこしながらのんびりコーヒー飲んでると、まだ少し冷たい風が心地よく、「風は春のにおいがしている~♪(by渡辺美里)」です(年がバレるな笑)。
何だか幸せ~な気分になります。訳もなくウキウキします。

木々も動物もそして私も、太陽や大地に後押しされて、春満開に向かっての準備を始めているんだな~と思います。

(雪が融けちゃう、山行かなきゃ!!笑)

 

 

 

 

森で動物に会ったなら

前回に引き続きフィンランドネタ。

私が行ったラップランドのウルホケッコネン国立公園周辺の地は、日本と違って平坦なところがほとんど。山というよりは丘が多い(フィンランドの最高峰は1300mほどだって)。そのためクロスカントリースキーコースが延々と整備されている。レベルや距離からコースを選べ、体力のある人なら何十キロもクロカンで移動できる。

さてそこで人生初クロスカントリースキーレッスンをした後、自分で往復4キロほどのツアーをしてみた時のこと。
コースの向うから誰かがやってくるな~と思ったら、やってきたのは人ではなく、大きな1頭のトナカイ(笑)。あちらもこちらも立ち止まり、互いに様子うかがい。その距離、100m弱か。
トナカイって、襲ってくるんだっけ?走ると速いのかな?つの、でかいな・・・。現地の人が「彼らは触られるのが嫌いだ、それは捕まって食べられることを意味するから」とかシビアな話をしてたけど・・・。
(フィンランドではトナカイのお肉を食べます。くせがあって私はあまり好きではない)。

とりあえず、「こんにちは」(しかも日本語で)とか言ってみる(笑)。続いて、「私、クロカンしててそっちの方へ行くけど、どうする?どこ行く?こっち来る?」。
日本でもよくやるんだけど、動物に会った時は、とりあえず話しかけることにしている。当然言葉は通じないんだけど、声のトーンから、彼らが自身にとって危険であるかどうかの判断ができると考えるためである。
しばしの沈黙の後、大きなトナカイは方向を変え、森の方へ入って行ってくれた。
やれやれ・・・と思ったのもつかの間、しばらく行くとまた2頭のトナカイが現れた。大きさからいって、さっきのがお父さんでこれはお母さんと子供?で、また日本語で(以下繰り返し笑)。

ちなみにフィンランドのトナカイは野生ではなく、いずれもどこかのトナカイ牧場の所属なのだそうです。昼間は放牧されていることもあり時々会うけど、夜間は会うことはないと現地の人が言っていました。
トナカイって・・・カピパラに似てる(笑)?って思いました。体形や行動パターンなどはカモシカに似てる。

トナカイのお母さんとこども?(こどもこっちガン見です笑)

トナカイのお母さんと子供?(子供こっちガン見です笑)

みなさんも、森で動物に会ったなら、穏やかに話しかけてみてね。だいたい、ちょっと待ってれば立ち去ってくれるから。
今まで話しかけたことがあるのは、カモシカ、サル、ニホンジカとウサギ(これは声をかけたと思ったらもう逃げてる)、キツネ、タカ、トンビ、カラスなどなど、そしてトナカイ笑。
逃げていく後姿に向かってなら、クマさんに話しかけたこともある。
ただし、クマさんの場合は、相手が気づいてなければ、話しかけないで静かに立ち去ってね笑。気づかれちゃってたら、やってみる価値はある。叫んで背を向けて逃げるよりずっといいと思う。でもこちらにその余裕があるかどうか~笑。