小谷村も大網峠を越えると間もなく越後の国である。
村内に8コースある塩の道(千国街道)の中で1-2の難コースではないかと思う大網峠越え、ササユリがものすごくキレイで印象に残ったので一筆。
地蔵峠越えの三坂峠(塩の道中の最高地点1215m)に競べると、大網峠の方は(840m)しかないので標高的にはそれ程高くはないのだが、一気に登る高度差はかなり大きい。横川の吊橋では(260m)しかないのでその標高差は580mで有り、三坂峠-横川間の標高差685mよりは百m程少ないことにはなるが、長者平(680m)と三坂峠の標高差は517mよりもキツイことになる。
登り始めで低い横川の吊橋(塩の道の中でただ1か所の木製吊橋)たしかに狭い30m程の川巾の絶壁、断崖の上(川も深い谷底で大雨時には目もくらむ様な激流が逆巻く所)ここの場所じたいが低い所なので大網峠の登りは一気に580m、沢の中のガレ場(雨天時は沢の水が増えるので要注意)けやき、トチ、ブナの巨木を見ながら上がる。(動物の巣になりそうな穴のあるケヤキ、向うが見える穴の明いている窓木、春にはめずらしいミスミソウが咲く)キツイ道ではあるが楽しみもたくさん有り、ボッカや牛が重い荷物を背負って上がった古の道をじっくりと登ると菊の花地蔵や炭焼き穴跡、家敷跡の下辺りからブナの美林が気持ちよい(6月に入ってもまだあちこちに残雪有り)。
ただ残念ながら大網峠に着いてもブナ林のため展望はきかない。が、昔は日本海から新しい風やニュースが一番先に信州に入って来た最前線で有ることがうなずける。
越後側にしばらく降ると目にもあざやかな「ルリ色の湖」角間池に着く。まったくいつ行ってもキレイなルリ色をしており根知三山も見え始める(日本では南限と云わる「アマゴイルリトンボ」などめずらしいトンボも生息する)戸倉山登山口、角間道標、御殿山、ツネム屋敷跡と降るとついに日本海や晴天ならば百キロ先の佐渡も見える。そして問題な場所諏訪の平石祠に到着。元禄時代、国境論争があって、今でも信州側が勝訴したとは云うけれど県境がはっきりしていない所です。白池に降ると越後分である。根知三山や雨飾山がすばらしいながめである。
文政7年に雪崩で21人が犠牲となった戸倉山がうしろにのしかかっている。
山口への道を降ると大日如来やブナの巨木が有り半日陰の道端に息をのむように真っ白なササユリがゾクゾクと咲いて居る。年に何回となく通る道でも丁度花の季節でなくてはお目に掛かれない。「県のデータブック絶滅危惧種」に指定されている。皆がワアーと声をいっせいに上げる見事さである。このコースはスノーシューで来てもマンサクが雪の上にいっせいに黄色い花の群落を見ることもできるが、今はミズナラが虫に喰われて淋しい限りでもあるが、いついっても何度行っても十分に楽しみなコースで、今回はササユリコースとでも名付けたい。